2016. 2. 20 Saturday

2月のカモシカ・蒜山耕藝と中和村

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撮影・加藤晋平さん

二人展「藝の食卓」の特筆すべきことは、主役の1人・蒜山耕藝が農家ということ。
高谷裕治さん・絵里香さんご夫妻、そして兄弟子である桑原広樹さんの3人で、鳥取と岡山の県境・蒜山の中和村で無農薬・無肥料で作物を作られています。

蒜山耕藝を訪ねたのは、3年前の春。もう1人の主役・堀仁憲さんのパートナー、坂野友紀さんが引き合わせてくれました。
桃源郷のように美しい山間に広がる田畑に、ただただ感動したのを覚えています。
凛とまっすぐで、それでいてやわらかくしなやかなお人柄。
「土地と季節にあったものをつくることが大前提。それを元に食卓から作付けを考え、食べたいものをつくる。」という揺ぎ無い姿勢。
そして山水の冴え冴えとしたおいしさ、その水そのものの澄んだ野菜。静かな感動と長い余韻が残る美しい味わいは、オカズデザインが目指す料理の味とぴたりと重なりました。
全てが調和した土地と水、人に惹かれ、2015年5月から集落のはずれの森にある小さな家を借り、今は東京と半々の暮らしを始めました。。

季節ごとの山菜やきのこ、天然の鰻やジビエと土地からいただく恵みは信じられないほど豊か。いったん山に入るとなかなか帰れないのも嬉しい悩み。
日本海が近くなのでのぴっかぴかの魚介が信じられない値段で手に入ります。
近くの牧場で分けてもらう無殺菌の搾りたて生乳、素晴らしいチーズ。平飼いの新鮮な卵。
そして、水に恵まれた山陰ならではの染み渡る旨みの日本酒たち。
その全てに蒜山耕藝の作物と同じ透明なおいしさを感じ、呼吸が自然と深くなるのです。
こうした食材を一緒に料理し、堀仁憲さん・坂野友紀さんご夫妻の器に盛って、日々の食卓でありお店でもある「くど」の大きなテーブルを囲んでお酒を飲み交わすのが日課です(そして大抵飲みすぎます)。

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料理人として、この素晴らしい食材と気持ちを出来るだけ多くの方に伝えたい!と思い、野菜と湧き水を持ち帰り、カモシカでお出しするのが定番になって随分たちます。
野菜や加工品のご紹介も時折してきましたが、尊敬している蒜山耕藝の3人をいつかきちんとカモシカに招きたい。オカズがいま一番大切にしていることを、ダイレクトに感じていただきたい。
いつも蒜山でそうしているように一緒に台所で料理して、おいしく健やかな食材を求めている東京のみなさまと直接ふれていただけたら、という願いを長い間あたためていました。
今回の「藝の食卓」は、この土地と人の素晴らしさを深く共有している堀さんとの二人展。
これ以上のぞめない理想的な形で実現する運びとなり、しみじみ嬉しいです。

貴重な7日間、1日1日大切に料理し器に盛って、たくさんの方とお話していただけたらと願っています。
食事はもちろん、お持ち帰りの品々も逸品揃い。12月のカモシカでまたたく間に売り切れた人気の蒜山あられ、お餅やドライトマト、最中などのおいしい加工品。そしてみずみずしい大根も並ぶ予定です。
たくさんのご来店、お待ちしています。

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