2010年6月15日

たぶん彼女は豆を挽く

アアルトコーヒーの庄野さんには、カモシカが出来たての時にとてもお世話になった。
近所だからいいよ。ぐらいの気軽さで、一度も会ったことなかったオカズのために、徳島から東京までひょいっとやってきてくれた。
ひどい風邪をひいてたのに飄々と淹れ続けてくれて、毎夜熱く語りながら一緒に飲んだなあ。
もう2年前のこと。なんだかひどく昔に感じる。
お互い、いっぱい色んなことがあったってことか。

コーヒーを果実や豆のように感じたのは、アアルトコーヒーがはじめて。
素材感があって、でも、すーっと体になじんでいく。
こんなコーヒーあるんだ。と、とても驚いたのを覚えている。
ひとつひとつの作業を丁寧に重ねた上での、澄み切ったコーヒー豆の味。
「うまいだろ」みたいな主張がなく、どこか飄々としている。ストイックで健やか。
庄野さんに似ている。というか、そのもの。

たぶん彼女は豆を挽く

そんな庄野さんの初著作『たぶん 彼女は 豆を挽く』が出版になりました。
詩的なタイトルだなーと笑いながらも、なんだかこちらまで嬉しくなる。
出版祝いの席におじゃました帰り道、さっそく電車の中で本を開いた。
コーヒーの選び方や淹れ方、そしてアアルトコーヒーが日々大切にされることが静かに熱く綴られている。
さっき別れた庄野さんと話し続けているような不思議な気持ちになった。

笑顔で肩の力抜いて、日々コーヒーを淹れたくなる。
ありそうでない、とてもいい本です。
ぜひ手にとってみてください。