2011年8月15日

小泉佳春さん

四国の旅からとっくに戻っております。更新遅くなりました。
ちゃんと仕事を片付けていったはずなのに、帰ったらどーんとたまっていました。おかしい。
でも四国で太陽と水と人の温かさにどっぷりふれて、体中の気がめぐったようにエネルギーがあふれていて、元気にさくさく動ける。
そんな中、写真家の小泉佳春さんの訃報が届き、昨夜お別れの会に伺いました。
会場に飾られていた、小泉さんが撮ったご家族の写真の温かさと美しさに、言葉をなくしました。

以前にも書いたけど、小泉さんは私たちがはじめてメディアに出た折に写真を撮っていただいた方。
取材そのものにも慣れておらず、ましてや本や雑誌でよく見ている小泉さんに撮っていただいているのが不思議でなりませんでした。
うちの犬が小泉さんにめちゃめちゃなついて、離れなかった。ひざに乗せながらシャッターを押す小泉さんの姿をよく覚えています。もりもりとおいしそうにご飯を食べてくれた。
それから数年たって、今年1月発売のdancyuの表紙と特集の料理を撮っていただくことに。
たったの二回。
でも、どちらも忘れられない写真となり、小泉さんからたくさんのものをいただいたと感じています。
また一緒にお仕事できるとおもっていたので、知らせを受けて、体から力が抜けました。

dancyuは、一時退院されていた折に撮っていただきました。
最初に撮った時の料理もよく覚えてくださっていた。
またすぐ入院されてしまい、一緒にお仕事できたのは奇跡だったのだと思う。
もっともっと話したかったし、ご飯を食べてもらいたかったな。
ご恩をいただきっぱなしで、何ひとつお返しできなかった。

撮っていただいた料理写真たち。ずっと大事にします。

2011年6月10日

小説と料理と

カレー漬けの日々が一区切りつきました。
中でもタイカレーの出来は自分らで言うのもなんですが素晴らしく、これは皆さんに食べていただきたいなー。
国産の青唐辛子はタイのものより辛味もやわらか。
これから旬だし日持ちもするし、自家製のグリーンカレーペースト作り、お薦めです。
来月、サントリー烏龍茶のHPでレシピ公開予定です。

いまはチャーシューとソーセージ漬けの日々です。
そこにコンビーフも追加されそうな予感。実に肉肉しい。
昼間こういったものの試作や試食をして、朝は玄米と味噌汁。
夜ごはんは、試食 / 季節の食材でささっと料理 / 人と会う、それぞれ2~3日ずつ。
普段はそんな食生活です。

さて今日これから、新しい仕事のために長い小説を読み始めます。
ありとあらゆる芸術や娯楽の中で、一番好きでたまらないのが小説。
他の事がどうでもよくなってしまうくらい、理性がふっとんで夢中で入り込んでしまうので、普段は可能な限り手にとらないようにしてます。
仕事だから。と言い訳しながら表紙をめくる前からどきどき。
あー久しぶり、こんな気持ち。恋がはじまる前みたいです。

2011年5月3日

総集編と『てっぱんごはん』

3日と4日、二日間にわたってNHK連続テレビ小説『てっぱん総集編』が放映されます。
時間は朝8時15分から10時まで。
って、お知らせが遅すぎでごめんなさい。
多くのお問い合わせをいただいたあの料理やこの料理の作り方も、遠藤憲一さんのスペシャルナレーションでご紹介してますよー。
映像は全てわれらのアトリエで撮ったもの。
本編収録終了直後に撮ったものもあって、なんだか感慨深いです。

実はこの総集編、まったく別のシナリオでほぼ完成まで進んでいたそうなのですが、震災を受けて急遽一から練り直したと演出チームから聞きました。
前の内容とどう変わったのかは分からないけど、しみじみとしたやさしさ、明るさを感じさせてくれる総集編だと思います。
改めて『てっぱん』に関われたこと、しあわせに思います。ありがとう、てっぱん。

てっぱんレシピは本にならないのか、というお問い合わせもよくいただきます。
何度か話があがったものの、本編制作中の本作りが難しかったため、残念ながら実現には至りませんでした。
ただ、多くの反響をいただいたおかげで、『てっぱん』DVD・BOX2の特典小冊子として登場することに!
タイトルは『てっぱんごはん』。
基本の出汁のとり方もふくめた小レシピ集。
初公開の、出汁を使った初音さんロールキャベツの作り方も載ってます。
なんと小冊子のデザインも担当。料理とデザインですよ。
オカズデザインらしい仕事で、1年以上関わった『てっぱん』を締めくくれて本当にありがたかったです。

小冊子に載り切らなかったレシピも、特典映像としてご紹介しています。
多くの方に手にとって、長く楽しんでいただけたら嬉しいです。

2011年4月3日

NHK「てっぱん」終了しました!

ブログに「!」を使うのは避けようと決めているのですが、しかし、使わずにはおれません。
1年以上関わったNHK連続テレビ小説「てっぱん」。
昨日4/2に無事終了しました!わー!!

思えば井上チーフ監督はじめ演出部の皆様が大阪からやってきて、料理を担当してほしいと言われたのがちょうど1年前。
一つのことを大勢で作り上げていく映画は、喜びと刺激は果てしないけど消耗も大きく、映像の仕事はもうやらない。と決めていた矢先のことでした。

著名なフードスタイリストさんがたくさんいらっしゃる中、映画一本に関わっただけの料理人に依頼するというのは異例のこと。加えて、大阪と東京の距離。
私達も戸惑いましたが、てっぱん演出部にとっても大きな賭けだったと後から聞きました。
それでもやってみようと思えたのは、このチームとだったらごくまっとうな料理を作れるのかもしれない。
料理ひとつにまっすぐな想いをぶつけてくる、この人たちの作るものに関わってみたい。
そんな気持ちからでした。

終えた今思うのは、あの時感じたことは間違っていなかったということ。
そして大きな大きな「ありがとう」という気持ちです。
毎日笑い、泣き、感動してもらえる作品に関わることが出来て、日本中でおいしそう、食べたいと言ってもらい。
こんな幸せなことはありません。
長いようで、あっという間の1年でした。
この経験はわたしたちの根っこを、さらに確たるものにしてくれたように感じています。
てっぱんのキャッチコピー「かならず腹はへる。かならず朝は来る。」
ここ最近、この言葉がいっそう輝いてみえます。

毎日観て下さっていた皆様、本当にありがとうございます。
また、チームてっぱんの皆様。そして現場でのサポートはじめ、色んな知恵やご協力をいただいた関西在住の友人達。心から感謝しています。ありがとう。
今、DVD発売の準備に走り回っています。それで、てっぱんの仕事は一区切り。
無事発売となったら、てっぱんダンス踊って祝杯あげたいと思います。

てっぱんの台本

そうそう、お知らせです。
てっぱんの中で反響が大きかった料理の作り方をご紹介した動画「てっぱんごはん」。
てっぱん公式HPで公開中です。
先に公開された玉子丼・きつねうどんに続き、グラタンや大豆ご飯、コロッケなど5品が追加されました。
ぜひ作ってみてください。

2011年3月7日

三月の雪

一月ぶりの更新です。
この間、本当にたくさんのことがありました。
NHK「てっぱん」の本編がクランクアップ。
オカズ初連載の『In Red』「台所ことこと」が終了。
また、療養中の秀治父が逝去しました。
たくさんのことを悔やみ、感謝し、やっと最近落ち着いてきたところです。

てっぱん終わって気が抜けたのではと色んな方から聞かれますが、まだ絶賛放映中だし、関連する仕事も色々続いていて、いまいち終わった気がしないのです。
そうそう、NHKの2分番組・プレマップで、「きつねうどん」と「玉子丼」の作り方が繰り返し登場していますが、近々また新しい料理が追加されます。楽しみ。
放映日時決まったら、またお知らせします。

4月は久しぶりに台所アトリエ・カモシカでイベントを開きます。
これまた近日中に内容をアップしますので、どうぞお楽しみに。

2011年1月14日

NHK『てっぱんごはん』

NHKの2分番組・プレマップで『てっぱんごはん』放映決定しました。
ひとつは大晦日~正月の特番にも登場した玉子丼。もうひとつはきつねうどん。
玉子丼は私が、きつねうどんは秀治が教えます。
地方によって放映日や時間が異なるそうなので、詳しくは『てっぱん』HPをご覧ください。

大阪・尾道、それぞれのお好み焼きも佐竹先生が教えてくれますよー。
まったく同じ作り方でも、佐竹先生とお弟子さんが焼くのでは味ががらっと変わる。
素材に対する心遣いや、ちょっとした細やかな動作が違うんだろうなあ。興味津々です。

スタジオ収録は残すところあと一月ほどとなりました。さみしいのう。
てっぱんロスになりそうで心配。

2011年1月12日

dancyuと小泉佳春さん

6日発売の『dancyu』は味噌汁特集。
禅寺の味噌汁、京都・瓢亭のとろりと濃厚な白味噌の味噌汁、酒にあう味噌汁…
目次を読んでるだけで顔がにやけてきます。
オカズデザインも5品、レシピを載せていただきました。
クレソンの味噌汁や蓮根のすりながしなど、新定番の味噌汁をご紹介。
味噌汁は奥が深く、試作はそりゃもう大変だったけど、納得いくものが出来上がりました。

創刊号から現在まで、ずっと読み続けている『dancyu』。
私にとってはお師匠さんのような存在です。
一流の料理人の知恵、生産者や素材について、おしみない情報が丁寧に載っている。
料理を仕事にする前から、どんなにたくさんのことを教えてもらったか。

今回仕事をして、改めてdancyuの底力を思い知りました。
レシピの文章にならないニュアンスを汲んでくれるのはもちろん、少しでもあいまいなところは編集さん自ら何回も試作を重ねた上でこちらに投げ返し、徹底的に明快にする。プロ中のプロの仕事なのです。
この丁寧な作業が、雑誌の質実剛健な佇まいを作っているのだと肌で感じました。

写真は小泉佳春さん。一緒に仕事するのは2回目。
知人の編集者に頼まれ、自宅の内装を紹介するついでに料理を作ったんだった。まだ料理は仕事にしておらず、デザインを夫婦二人でやってた頃です。オカズデザインがはじめて受けた取材でした。
今回撮っていただくのは緊張し、同時にとっても嬉しかった。
めったに会えない従兄に、成長した姿を見てもらえたような不思議な気持ち。うまくいえませんが。

そして、なんと。
表紙となった浅利の味噌汁もわれらが作り、小泉さんに撮っていただきました。
美しく芯がある、素晴らしい写真。なんのご褒美なんじゃろうか。
写真に言葉を添えてくれたのは、中川ちえさん。
ほわっと包まれる、しなやかな文章です。
ぜひ手にとってみていただけたらうれしいです。

2010年12月22日

年の瀬

あっという間に一月更新せず月日がたってしまいました。
今年が終わってしまうではありませんか。あわわー。
雑誌掲載情報はHPのMEDIAページ、料理の連載ページで更新してます。

NHK「てっぱん」、料理が大きく関わる撮影日は年内あとわずか。
大晦日と正月はちゃんと休めそう。何年ぶりだろう。うれしいな。
あ、29日朝8時半から&31日午後2時半から放映される、てっぱん年末スペシャル特番「そうだったのか、てっぱん」でオカズデザイン登場しますよー。
われらのアトリエ「カモシカ」で撮影があったのですが、ゆるゆるとした空気が流れていて面白かったです。
初音さんのとある料理の作り方も詳しくご紹介してます。ぜひご覧ください。

年賀状書きはまだまだこれからだけど、大掃除は少しずつ進行中。
知らないうちにたくさんのものや情報が集まって、使っていないものが多いことに気づく。
休みはそういったものの整理に使おうと思います。
一生使うものかどうか、ちゃんと見極めたい。

2010年11月13日

霜月

とっくに11月ですね。更新またも遅めですみません。
相変わらずどたばたとした日を送ってます。
といいつつ合間をぬって、尊敬する料理人がいる能登の宿に友人と泊まってきました。
一足早い正月のような、静かで満たされた時間でした。

翌日、鳥居醤油店のおかみさん・正子さんと久しぶりの再会。
そこに漁師さんがやってきて、採れたてのアオリイカと海水だけで味をつけた一夜干しをご馳走になる。
お宅にあがりこみ、日本酒までいってしまいました。あー涙が出るくらいおいしかった。
絞りたての生醤油を特別に汲ませていただき、お土産にいただきました。
昨日ふかした里芋につけて食べたらおいしすぎて卒倒。
正子さん、ありがとうございました&ご馳走様でした!

さて掲載情報です。
『PLUS 1 LIVING』12月号にて、日本酒にあう宴用のメニューを載せています。
メインの一品は関東炊き。
「てっぱん」の料理を担当しているおかげで、オカズデザイン=西のイメージが強くなっているらしく、タイトルはおでんではなく「関東炊き」でいきたいとの編集側のご希望。なんだかうれしいです。
牛筋の下処理も載せてますので、ぜひ一から作ってみていください。その甲斐あります。
おすすめの取り寄せとして鳥居醤油店の醤油、奈良の日本酒・春鹿の発泡酒「ときめき」を推薦。

『In Red』12月号、中川ちえさん・齋藤圭吾さんとの連載「台所ことこと」は白粥です。
ご馳走レシピを求められる時期ですが、胃疲れする時期に自分を労わる料理として掲載。
これ以上ないってくらいシンプルなものなので、いつも以上に試作を重ねました。
体にすっと入っていく、滋養あふれる粥になったと思います。
ここ数ヶ月、この連載の重みや価値をあらためて感じています。

それと終わってしまった話ですが、「てっぱん」の特番でわれら夫婦が登場しました。
てんやわんやで放映日時を知らないまま放送が終わってしまって、お知らせできませんでした。
長い収録の後のインタビューで、二人揃ってへろへろ。
顔色よくないは言葉は出てこないわという状態で、見ていただいた方にはお恥ずかしい限りです。
精進します。

2010年10月27日

週末は「灯しびとの集い」です

昨夜はmargoまりこさんとさし飲み。楽しくてついワインをがぶがぶ。
朝起きたら二日酔い+風邪ひきかけてる。
ま、おいしく楽しかったからいいか。風邪はとっとと治すとしよう。

ただいま明日の「てっぱん」収録用の煮物を仕込んでいます。
金曜夜に撮影が全て終わったら、そのまま東京からの車班と合流。
堺のクラフトフェア「灯しびとの集い」にレモネード屋として出店します。
こう冷え込んでくるとホットレモネードが出るかもしれないな。
いろんな作家さんや器に会えるのが個人的にとても楽しみ。
関西のみなさま、ぜひ遊びにいらしてください。

下の絵は先ほど秀治がてっぱん演出部に送った指示。
果たして分かっていただけたのだろうか。