2010年10月23日

グラタン

やっとこ東京に戻ってきました。ひさしぶりにオカズ三人合流。
さすがに移動続きで疲れたか、寝ても寝ても足りません。
京都造形大のみなさま、つたない話を聞いて下さりありがとうございます。
学生さん達の目がまっすぐできらきらしてたのが印象的でした。
京都滞在はほんの一瞬で残念。次は大晦日に遊びに行く予定。

「てっぱん」今週のグラタン登場の回、評判よかったみたいです。
いい話だったもんなー。神経をつかった収録だったので、ほっとしました。
和食が得意なおばあちゃんらしく、さらりとしたベシャメルと控えめな味つけ。
太いリガトーニ、まるまると大きい具材でハレ感を出しました。
来年撮影が全て終わったら、みなさんに食べていただく機会を作れたらなと思ってます。

さてウェブと雑誌掲載のご紹介。
サントリー烏龍茶のシリーズ連載「烏龍茶的食べ物語」、更新です。
たこ焼き、サムギョプサル、ピロシキ、さんまの蒲焼丼の4品が追加されました。
たこ焼き器は試作を繰り返してかなり使い込んだので、黒光りしてる。
火加減が特に難しく、奥深い料理だなー。一番苦心しました。

『天然生活』12月号、夜の過ごし方でオカズデザインを紹介いただきました。
ぶらぶらと散歩したり、大好きな店・margoでおいしいワインを呑みながら撮影。
いい取材でした、あはは。margoまりこさん・まきじくん、ありがとう。
写真はキッチンミノル、テキストは権佳恵さん。

オルビス会報誌『hinami』10月号に、おむすびのレシピが4つ登場。
とてもおいしそうに載せていただきました。
素敵な表紙だなあと思っていたら、田尾沙織さん写真、佐藤卓さんデザイン。
中身も充実していて、高山なおみさん×松浦弥太郎さんの対談も巻頭に。思わず熟読。
レシピはウェブマガジンにも転載されているので、よかったらご覧ください。
写真は岡村昌宏さん。テキストは高橋紡さん。
美しく、やさしいおむすび写真に感動。

『きょうの料理ビギナーズ』の連載「作っておくとっておく」。
今月は豚肉と大福豆の煮込みです。
時間はかかりますがその甲斐は十分ある、しみじみやさしい煮込みです。
少し寒くなってきた今の季節、ぜひお試しください。

発売後ずいぶんたってしまいましたが、『InRed』11月号。
中川ちえさん・齋藤圭吾さんとの連載「台所ことこと」、ハヤシライスを載せました。
デミグラスから作ると1週間以上かかる手間がかかる料理。それはいくらなんでもハードルが高いので、子どもの頃に母がこの季節に作ってくれた味を思い出しながら軽やかに仕上げています。
玉葱とセロリをしっかり炒めること、牛すね肉と鶏がらスープを使うのがポイントです。

最近、料理と写真の関係について改めてよく考えます。
言葉に出来ないところを形にし、ふくらまし、そぎ落としてくれるパートナー。
お互いにプロの仕事をするのはもちろんだけど、深い意識で関わりあって信頼関係を作れたらと切に思う。

2010年10月4日

玉子丼

土曜日放映の「てっぱん」に登場した玉子丼。「うまそー」の声たくさん、ありがとうございます。
みんな忙しいのによく見てくれているなあと改めて感激。
何かの機会に召し上がっていただきたいけど、火加減の調整が微妙で一度にたくさん作れません。
ドラマのように目の前にいる大切なひとのために、ちゃちゃっと家で作るのが一番似合う料理な気がする。
視聴率もいいみたい。幸先いいスタートでうれしいっす。

写真はこの夏の収録を支えてくれた、大阪・堺筋本町の「ゼー六」(ゼーロクと読みます)アイスもなか。
1個100円、さらっとした甘さと舌触り。びっくりするくらい上品でおいしいです。
涼しくなっても無性に食べたくなる。

今月いっぱいはデザインも料理もてんてこまいスケジュール。
オカズ3人アクセル全開ながら楽しんでる空気もあり、いい感じで進んでいる。と思う。
大阪での仕込みは信頼している友達が手伝ってくれていて、本当に助かってます。ありがとう。
近々みなさまに会えるのは10日の「アアルトカレー」でしょうか。
今年こういうぎゅっとしたイベントが出来るのは最後かもしれず、気合入れてます。

デザートのうち、一品はなんと。デルベアのバウムクーヘンをお出しします。
これ以上ないってくらい繊細な味わいなのに、ものすごくパワーがある。
オカズデザインが世界一好きなバウムクーヘン。
奈良でたった一人で作られていて、誠実で真摯なお人柄も含め尊敬しています。

大好きで尊敬している方達と一緒に、おいしい時間と空間を作る。
いまから楽しみです。まるでご褒美のような1日。
昼過ぎの回はまだ空きがあるようなので、巣巣さんへ問い合わせてみてください。

2010年9月30日

『てっぱん』始まりました。

月曜日からNHK連続テレビ小説『てっぱん』が始まりました。
オープニングのてっぱん音頭を一緒に踊り、ドラマが始まると背筋のばして見てます。
タイトル文字も葉加瀬太郎さんの音楽もいい。
ちなみに踊りは「お好み焼きが出来るまで」を表しているそうです。なーるほど。
見てるよーという声も友人知人からたくさんいただいてます。ありがたいなあ。
でも、あわわと思うような誤解もあるので、ここでざっくり説明します。

◇オープニングのお好み焼きおいしそう
われらでなく、お好み焼き指導の佐竹先生が作られてるんですよ。
すーっとした品がいい、やさしいおいしさです。
お褒めの言葉は佐竹先生に伝えておきます。

◇『てっぱん』で具体的に何をやってるの?

ドラマ全体の料理監修と、フードコーディネートの一部です。
監修は台本の企画段階から、このシーンにはこういった料理がいいんじゃないか、
こういった調理作業がいんじゃないか、この料理描写は不自然だからこうしたら、
というようなことを、演出サイドと徹底的に詰めます。

フードコーディネートは週に1~4日くらい現場にたちあい、実際に料理を作ったり演技指導します。
大きくドラマの流れが変わるような料理は、必ず作りスタイリングもします。
富司純子さん演じる、たいそう料理上手なばあちゃん・初音の料理を主に担当しています。

ほかの料理も献立を決めたりレシピ提供していますが、
全部の料理を作っているわけではありません。
前述のお好み焼き・佐竹先生、美術チームと連動しながら進めています。

◇テロップに名前が載ってない・・・

ロケや尾道の料理には基本的に関わってないので、名前が出ないのです。
関わっている日は必ず載ります。お楽しみに。
でも「オカズデザイン」ではなく個人名。NHKはそういうルールだそう。

◇これからどうなるの?
毎日見てください。週末まとめて再放送もありますよ。

詳しいことはドラマガイドのインタビューでお話しています。
『てっぱん』についてかなり詳しく分かりますので、よろしければ。

明日も見てくださいねー。

2010年9月21日

てっぱんとかたつむり

いよいよ連続テレビ小説『てっぱん』が来週月曜日から放映です。イエー。
すでにどきどきしています。まともに当日見れるかな。
話は笑いあり涙ありの人情もの。NHK関西の王道。いい話なんです。
新しい台本がくるたびに、ぼろぼろ涙ながしています。
毎日見ていただけたらうれしい。

期せずして映画『食堂かたつむり』のDVDも発売となりました。
いただいたのですが、特典映像の確認だけして本編をまだちゃんと見れていません。
これまたどきどきで胸が苦しくなる。
思い返しても大変な仕事だったけど、これが『てっぱん』につながった。
改めてたくさんの人に感謝しています。

映像の仕事は監督や役者さんだけでなく、演出・カメラ・音声などたくさんのプロとのチームプレー。
その調整がなにより重要で、時には交渉が大変なことも。
だけど、料理を一番いい状態で準備し、おいしく見えるように器を選び盛りつけ、食べてもらう。
根本的にはいつもと全く変わらない。
『てっぱん』の仕事は来年2月まで。なんだかんだであと半年。さらに気合いれます。

2010年9月10日

セミファイナル

先週からずっと続いていた連載の撮影週間が終わり、少し息をつけました。
昨日も撮影中、デザイナーさんが蝉の鳴き声を聞き「いよいよセミファイナルだなー」と。
だじゃれ好きな方でいつもは完全に流すのですが、不覚にも受けてしまう。やられた。
昨日ぐっと気温も冷え込んで、いよいよ秋到来かな。

『ソトコト』10月号「全国県民食材事典」に4品、とっておきのおいしいもの推薦しました。
京都の山中油店さんの油、茨城の山崎さんのお米、広島の田坂さんのレモン、能登・珠洲の塩。
他にも夜明けに一本釣りされるサバ、トロントロン牛乳など気になるものがいっぱい。
大事に保存したい。

『In Red』10月号はカスタードプリンを載せました。
おいしいお菓子を作る友達が何人もいるので、お菓子作りは基本的にしなくていっか。と思ってます。
でもプリンやドーナツのように、小さい頃に家で食べていたようなスタンダードなもの、酒にもコーヒーにもあうシンプルなものは今後も少しずつ作っていきます。

そうそう。10月に今年最後でないかと思う喫茶イベントが決まりました。
場所は等々力の巣巣さん。尊敬してる方とご一緒します。
そこに向けて甘いものをもう一品、開発したいなあと思ってるけど間に合うだろうか。うー。
詳細決まったらまたお知らせします。

たくさん仕事をいただき、けつまずきながら突っ走ってきたここ数年。
10年後どうするかを最近よく考えてます。
時にはけんかしながら二人で話しているけれど、納得のいく結論が出ません。
まあそりゃ簡単に出ないわなと思いながらも、もわんとしてます。
来週は夫婦そろってインタビューの取材が続く。
話すことでまた見えてきたらいいなあ。

2010年8月27日

残暑お見舞い申し上げます

だいぶ更新空いてしまいました。すっかり残暑ですね。
みなさまお元気ですか?
東京と大阪、二手に分かれたりいったりきたりしながら、数日前やっと3人揃って東京に。
色々書きたいこともあるのですが、まずはたまってしまった掲載お知らせ。

エイ出版社『暮らし上手の台所』に、8ページにわたって紹介いただきました。
カモシカの台所、使ってきた器、いまお薦めの道具などをご紹介。
扉見開きにも、吉本ばななさん『キッチン』の冒頭と共に台所写真が載っています。
表紙にもちらりと。ありがたいことです。
益子のstarnet「山の食堂」の台所など、他のページも素敵でほうっと見ほれてます。

『In Red』にて連載の「台所ことこと」。
9月号はポテサラです。
出来るなら、ぜひマヨネーズも自家製で作ってほしい。
その価値ありです。お酒すすみます。
エッセイ担当の中川ちえさんと、最近改めてこの連載のコンセプトを熱心に話し合ってます。
本になった時にずっと持っててもらえるよう、質と内容をより深めたいと思う。
とか言いながら、おいしいものをたらふく食べて呑んでます。

『きょうの料理ビギナーズ』連載の「つくっておく、とっておく」。
えーと、二か月分ご紹介がたまってます。
8月号はピクルス。
昆布を使うので、酢がやわらいで男性にも好評です。
展開料理はこのピクルスを使った、自家製タルタルソース。
鶏ささみやトマトのフライにたっぷりかけて、食べてみてください。

9月号は、塩きのこ。
ご飯にかけてもいけますが、この塩きのこを刻んで玉子焼きを作るとおいしいのです。
ふんわりした出汁巻きに、しゃきっとした塩きのこの食感。
朝ごはん、酒の肴にお薦めです。

『FRaU』9月号の「観るとすぐ人に話したくなるDVD」特集で、
食べるシーンがえらくおいしそうなもの3本、料理長が推薦してます。
考えてみれば映画だけでなく、ずっともち続けている本もそういうのばかり。
食べることはわたしの人生の核なんだなーと、改めて噛み締めてます。

2010年7月2日

「多摩川な人々」

ライオン橋とキッチンミノル

写真家のキッチンミノル氏が写真を撮っているところ。場所は大阪・ライオン橋です。
オカズデザインのアトリエ「カモシカ」の二階に写真事務所を構えていて、いってみればこちらは大家なわけですが、まあ態度がでかく口が悪くうざいことこの上なく、呆れたり叱ったり流したり、な毎日。
でもミノルの才能と、その裏にある真摯な努力や探究心を私たちは心底尊敬していて、刺激を受けている。
彼の存在が実はカモシカの指針になってくれているのではなかろうか。と思うことも(本人にはいわないけど)。

今日から13日まで、原宿のギャラリー・ロケットにて、キッチンミノル個展「多摩川な人々」が開催されます。
同名の写真集も刊行されます。早く見たい。
初日の今日は18時からオープニングパーティがあり、オカズデザインもお手伝いに行く予定。

ただ事前情報では混雑するもよう。写真をゆっくり見るには、時間をずらしたり別の日に行くのもいいかも。
偶然にも、会場近くでは靴作家uzuraの個展「UZURA MANSION」も8日から開かれます。
オカズもずっと愛用していて、履きこむほど味が出てきています。
どこかちょっととぼけたところがある、他にはない素敵な靴。
二つの個展、あわせて行くのもお薦めですよー。

2010年6月29日

夏休みの写真

雨がふると熱帯のように蒸し、お天気になるとじりじり暑い。
夏がやってきたなー。水たまりに写る日差しもまぶしい。

夏休み期間に撮った写真を公募するプロジェクト「TEARFUL」にお誘いいただく。
写真集となり、その売上の一部は森になるそう。
休みをとれる見通しはさっぱり立たないけど、夏休みに写真を撮るって決めただけでなんだかいつもより真夏になるのが待ち遠しい。
興味ある方はぜひご一緒に。詳細はTEARFULのHPを見てみてください。

2010年6月23日

会いにいく

7月から連続テレビ小説「てっぱん」の料理制作の仕事が本格的に始まる。
その前にと、今後カモシカで一緒にやりたいなあと思っている作り手さんと今月はなるたけ会っている。
木工・渡邊ファミリーと一緒にソーセージを作ったり、陶芸家の吉村和美さんとルーシー・リー展にいったり、洋服屋の+capsuleさんと呑んだくれたり、鉄の成田さんと立ち飲み屋めぐりしたり。
なかなか会えなかった人に会いにいったり、話を聞いたり。
ゆるんでいる中で、何かが静かに研がれている。

関係ないくだらない話をしているほうが大半なんだけど、なんてことない時間を一緒に過ごすことって、一緒にものを作る上ですごく大切な気がする。
あー早く次のカモシカ企画、やりたいなあ。
テレビの仕事が長い上に予定が直前に決まることもあって、スケジュールが立てられない。
カモシカでのイベントを待ってくださっている皆様、必ずお知らせしますので気長にお待ちください。

どくだみが綺麗なこのごろに出た掲載雑誌のお知らせ。

『nid』16号「器とごはんの“おいしい”相性」特集で、デザイン室長が登場。
長年愛用しているヨーガンレールさんの楕円の皿と、ガラス作家の木下宝さんのグラスをご紹介。

『天然生活』8月号「わが家の十八番カレー」に、これまた室長がチキンカレーの作り方を紹介しています。
室長まつりですね。
オーソドックスな、なんてことないシンプルなチキンカレー。自信作です。

オカズデザインは料理長が料理、デザイン室長がデザインだけをやっているのではなく、二人で料理を作り二人でデザインしています。全ての仕事を二人で関わります。
昨日もとあるインタビューにお答えしたのですが、デザイン作業と料理は私達にとって同じです。
どうしたら伝わるだろう届くだろうと考え、たたき台を作り、届ける相手や出す季節やシチュエーションによって試作を繰り返し微調整していく。デザインや料理に関わらず、どんなこともそうじゃないかと思う。
それを二人で相談しながら続けてこれたのは幸せなことです。
夫婦だからこそ容赦もなくて、大喧嘩になったりよくするけど。

スタッフが一人増え、3人となったオカズデザイン。
3人目もグラフィックデザイナーでありながら、料理もどんどん関わっています。
これからどう変わっていくか、ふくらんでいくのか楽しみ。

2010年6月15日

たぶん彼女は豆を挽く

アアルトコーヒーの庄野さんには、カモシカが出来たての時にとてもお世話になった。
近所だからいいよ。ぐらいの気軽さで、一度も会ったことなかったオカズのために、徳島から東京までひょいっとやってきてくれた。
ひどい風邪をひいてたのに飄々と淹れ続けてくれて、毎夜熱く語りながら一緒に飲んだなあ。
もう2年前のこと。なんだかひどく昔に感じる。
お互い、いっぱい色んなことがあったってことか。

コーヒーを果実や豆のように感じたのは、アアルトコーヒーがはじめて。
素材感があって、でも、すーっと体になじんでいく。
こんなコーヒーあるんだ。と、とても驚いたのを覚えている。
ひとつひとつの作業を丁寧に重ねた上での、澄み切ったコーヒー豆の味。
「うまいだろ」みたいな主張がなく、どこか飄々としている。ストイックで健やか。
庄野さんに似ている。というか、そのもの。

たぶん彼女は豆を挽く

そんな庄野さんの初著作『たぶん 彼女は 豆を挽く』が出版になりました。
詩的なタイトルだなーと笑いながらも、なんだかこちらまで嬉しくなる。
出版祝いの席におじゃました帰り道、さっそく電車の中で本を開いた。
コーヒーの選び方や淹れ方、そしてアアルトコーヒーが日々大切にされることが静かに熱く綴られている。
さっき別れた庄野さんと話し続けているような不思議な気持ちになった。

笑顔で肩の力抜いて、日々コーヒーを淹れたくなる。
ありそうでない、とてもいい本です。
ぜひ手にとってみてください。